5 生徒の実態
 「情報」の授業を受けている生徒の実態について調査するため、4月と10月の2回、アンケートを実施した。
 プレアンケート(4月上旬実施):情報授業を実施するに当たり、一年生が家庭やこれまでの学校段階で、コンピュータやネットワークについてどのような経験をしてきたのかを調査する目的で、最初の授業でアンケートを実施した。(このアンケートは、コンピュータ上で回答する形式を取り、生徒がマウス操作に慣れることも目的として第1回の授業で実施された。)
 アンケート2(10月中旬実施):約半年間、15回の情報の授業を実施し終えた10月中旬に、情報授業に対する生徒の感想や要望を調べ、また、4月の時点での調査と比較する目的で、アンケートを再度実施した。(このアンケートは授業時間外に紙面で行った。)
 ここでは、2回のアンケート結果および、その比較、考察を述べる。

5-1 結果
 主な質問項目に対する回答を示す。他の項目の回答および生徒の自由記述は資料2に掲載する。





5-2 考察  

 4月と10月のアンケート結果について、質問項目が同じものについて比較・考察する。次に、10月のアンケートのTTとTAに関する回答と自由記述について考察する。

5-2-1 4月と10月のアンケート結果の比較
(1) 質問1-1「家庭にコンピュータがあるか」の比較
 10月の回答では、新たにコンピュータを購入した家庭があったことを示しており、それは自由記述でも確認できる。いずれにしろ、家庭にコンピュータがある生徒が8割以上いるということは、他の学校と比較してかなり高いのではないかと考えられる。
(2) 質問1-2「家庭のコンピュータの機種について」の比較
 生徒の家庭でのコンピュータ環境が、学校の使用機種の影響があるかと考えたが、ほとんど変化がなかった。わずか半年で、端末の買い換えが起こることもないのは当然であろう。学校でMacを使用しているので、家庭でもその影響があるかと考えたが、その影響は見られなかった。逆に家庭で使用しているWindowsを学校でも使いたいという声が自由記述(資料2参照)で見られた。
(3) 質問1-3「ネットワークへの接続について」の比較
 家庭でのネットワーク接続が大幅に増えた。これは、情報の授業によって、インターネットをはじめとするネットワークの有用性を生徒が実感し、それがなんらかの形で家庭に影響を与えたと考えられる。また、情報の授業を受けた生徒だけではなく、保護者に対して実施しているインターネット保護者見学会の影響もあるのではないかと考えている。ネットワークへの接続は、端末さえあれば比較的簡単であるため、ここまで増加したと思われる。
(4) 質問2-1「キーボードのブラインドタッチができるかについて」の比較
 キーボードのブラインドタッチについてはこれまでの授業で、特に指導していないので、4月段階と10月段階で大きな差は見られない。ただ、生徒の様子を観察していると、電子メールを書いたりレポートをワープロで書く課題を通して、4月にはキーボード上のアルファベットを探しながら入力していた生徒も、文字入力の速度は確実に速くなっていると言うこはできる。

 他の項目については、4月と10月で大きな変化は見られなかった。(資料2参照)

5-2-2 TTとTAに関する質問(10月アンケート)の回答と自由記述から
(1) 情報の授業について
 多くの生徒が情報という授業を好意的に受けとめている。その理由として、授業自体が実習の要素が多く楽しいということの他に、将来役に立ちそうだということをあげる生徒が多かった。近年何のために学ぶのかわからないために、学習意欲を失いがちな生徒にとって、情報授業は学ぶ意義が非常に見えやすく、意欲もわく教科なのであろう。4月の段階で情報の授業への期待は非常に大きかった(資料2参照 質問4-1,4-2)が、10月の調査では、これまでの授業が概ね生徒の期待に答えたものだということが確認された。しかし、教官が説明で使用する言葉も、時に生徒にとっては初めての言葉で理解できない場合があるために、配慮してほしいという声や、後ろの席からはスクリーンが見にくい等、学習指導上注意すべき点の指摘もあった(資料2参照)。
 授業の進度については多くの生徒が情報の授業の進度は速いと感じていることがわかる。1回の授業の内容が初心者にとっては多く、時間内に課題が終わらずに、放課後の宿題となってしまうことも多い。宿題となった場合には、必ずしも教官やTAのサポートを受けられるとは限らないので、この点は改善の余地がある。しかし、多くの生徒は課題が多く大変ではあるが、やりがいがあると感じていることが自由記述からうかがえる(資料2参照)。
(2) TTとTAについて
 TTについてほとんどの生徒は好意的に受けとめている。授業を担当する教官の人数については、ちょうどよいという意見が過半数であるが、時間割りの都合上教官2名で授業を行っているクラスでは、やはり教官の数を増やして欲しいという意見が多くなっている(資料2参照)。生徒が2教室に別れる場合は教官2名だと各教室に1名ずつということになる。できれば、2名以上の教官を配置し、TAと合わせて各教室を複数で指導することが望ましい。
 TAについても、TTと同様の結果が得られた。ほとんどの生徒は好意的に受けとめており、教官よりも年齢的に近いTAの方が親しみやすく、質問しやすいという声も聞かれた。多くの生徒が、きめ細かい個別指導を必要としていることがわかる。
 しかしその一方で、TAおよび教官の資質の向上を求める厳しい声がいくつかあった(資料2参照)。我々も日々学習しているが、専門家ではない上、情報の授業の企画、実施で時間的な負担も重く、資質向上に十分時間をとれないのが現状であるが、今後の課題として考えていかなければならないであろう。
(3)授業環境について
 端末の台数を増やして欲しい、Windowsを利用したい等の環境面の充実を要望する記述が多くみられた。やはり、1教室に1人1台の設備を実現し、生徒の授業時間外での利用を考えるとさらに多くの端末を設置することが望まれる。