3 授業体制(ティームティーチング)
今年度1年生に必修1単位として情報の授業を導入するにあたって、昨年度に時間割り編成が可能かどうかを検討した。その結果、時間割り編成上大きな制約を設けなくても、教育工学委員の空き時間に情報の授業を入れることができるということが確認されている。したがって、今年度の情報授業担当者は自分の教科の持ち時間に単純に情報の授業が付加されている。
「情報」の授業は、教育工学委員会(ボランティアの要素の強い分掌で、教科のバランスは考慮されているが、特にコンピュータやネットワークに明るい教官だけで構成されているわけではない)のメンバー14人を中心に企画・実施されている。委員以外にも、教育工学委員会の連絡用メーリングリストに加わり、授業のサポートにのみ参加する教官が11名おり、受講生として生徒と一緒に同じ授業を受けている教官もいる。したがって、本校教官の約半数がなんらかの形で、この情報授業に関わっていると言える。
授業は、多くの教科、科目の教官が混在したティームティーチング(以下TTとする)により実施されている。本稿では、TTという語は、各クラスの授業を複数の教官が実施するという意味と、情報という授業を教育工学委員会の複数の教官全体で企画・実施するという意味にも用いる。さらに、東京学芸大学から4名のティーチングアシスタント(以下TAとする)(4年生3名、大学院生1名)も加わり、教材研究、授業、評価、補習、分析、メンテナンスなどを精力的に行っている。TAについては後に詳述する。
1年生8クラスに対して、1クラスあたり2〜3名の教官が授業を行っている。前年度までの教育工学委員会の研究の蓄積から、TTという体制をとった理由には、次の3つがある。
(1) 実習的要素の多い情報授業では、個人による一斉指導が困難であることが分かっていた。特に、コンピュータ操作などに大きな個人差が有り、これが一層一斉授業をやりにくくしている。複数教官による個人指導が随時必要となると判断したのである。また、授業を企画した段階では、TAの存在は考えられてもおらず、教官がTAとしても働くつもりでいた(現在でも教官にその役割はある)。また、現在の環境は視聴覚室とコンピュータ室に端末が別れて設置されているので、生徒一人に端末1台という環境を実現するためには、2教室に分散せざるを得ない。したがって、最低でも1クラスに2名の教官は必要であると考えた。
(2) もともと、本校での「情報」授業は、各教科・科目の授業でのコンピュータを中心とした情報活用・発信を支援するという目的が強かったので、異なる教科・科目の教官が混在して授業を実施すること自体が望ましかった。
(3) 情報授業自体が、教育そのもののあらゆる分野に関わっていると同時に、どの教科にも属していないとも思われる内容が考えられる。このことを克服するためには、複数の異なる教科の教官がティームを組むべきだと考えた。
TTの実際の組み合わせは、表3-1に示す。
昨年度の段階では、授業担当者が各回1人ずつ交代で授業を行うことやクラスを分割して授業を行うことも検討されたが、今年度は生徒への個別指導の必要性から、全員が毎回授業を担当することで運営されている。ティームによって多少の違いはあるが、基本的には一人が授業を担当し、残りの教官が生徒の個別指導等をするという形態をとり、それをローテーションで行う場合が多い。現在、8クラスに対して延べ21名が情報授業を直接担当しているが、昨年までの授業持ち時数にこの分が単純に追加されているので、授業実施以外に、準備や設備のメンテナンス、教官自身の新たな学習など、その負担増は大変大きなものである。