1 情報授業設置のコンセプト
1-1 情報授業設置の背景
本校「情報」授業の出発点は、各教科でのコンピュータ、ネットワークを活用した授業支援のニーズに応えるものである。過去五年間におけるコンピュータ・ネットワークの教育への活用研究により、各教科、生徒個人でのコンピュータ・ネットワークの利用度が高まり、より積極的な利用の希望が増してきた。そこで、全生徒に電子メールアドレスを与え、コンピュータ室を開放してその活用をはかったが、大きな問題が2つあった。1つは、電子メールアドレスを与えても、その使い方を教えるシステムが本校のカリキュラムにはなく、教育工学委員の授業を削るなどして対応せざるを得ず、十分な指導が困難であった。2つめは、各教科でコンピュータ、ネットワークを活用した授業をするに当たって、その利用の仕方から指導しなければならず、本題に至るまでのギャップが大きかった。
そこで、総合学習の先取りとして情報活用・発信の授業を設定し、あらゆる教科・科目や日常生活での情報活用・発信の支援をすることを企画した。本校での「情報」授業の設置の最大の目的はここにある。
また、新学習指導要領に教科「情報」の設置が決まり、しかし、その実態は定かとは言い難いものがあった。これが何を目指すのか、現実にどんな授業をし、どんな生徒を育てようとしているのかがなかなか見えてこない。うっかりすると、抽象的な情報理論の授業になるか、いつの間にか他の教科にすり替えられてしまうのではないかと思われた。21世紀の情報化社会に輩出する生徒に、いま教えておくべきことが何であるのかを、これまでの研究成果と、今後の授業実践で世に訴えていく必要があると考えた。
これらを総合した結果が、今年度からの1年生での必修「情報」授業の設置である。したがって、本校での「情報」授業の設置は、教科「情報」の先行研究というよりも、教科・科目や日常生活での情報活用・発信の支援をする必要性に基づくものである。
以上のことから、「情報」を一年生で必修1単位として設置した(教育課程表参照)。ほとんど全ての教科での情報活用を支援するためには、情報の収集、分析、活用、伝達、発信と表現の能力が身に着く授業を必修として設置する必要があった。また、これを可能とする環境整備や、ネットワーク利用でのルール、広くは情報化社会におけるルールや価値観に関わる授業展開も必要となった。これらを総合すると、必然的に情報化に対応した教育としての教科「情報」の実践ともなっている。
1-2 情報授業に関する研究のねらい
(1) 高等学校教育全般における、コンピュータなどのマルチメディア情報手段の活用支援に必要な授業を開発・実践する。
(2) コンピュータなどの情報手段の活用を図りながら、情報を適切に判断、分析する能力を育成する教育方法を実践的に開発する。
(3) コンピュータや情報通信ネットワーク等の情報手段を実践的に活用し、情報化時代に対応した教科教育の支援を可能なものとする。
(4) 既存教科の情報化に対応した教育課程および独立教科としての「情報」の教育課程への位置づけと、教科「情報」の授業内容を具体化する。
(5) その教育課程に基づく授業実践をし、情報化に対応した教育課程の編成の具体化とその問題点を探る。
(6) 高度情報化社会に参画する態度を育てる授業内容などを具体化する。
(7) 以上を実現するために必要な授業及び学校生活全般を通しての環境条件を研究し、教科「情報」実施に必要な雛形を示す。
1-3 研究体制
(1) 組織
(2) 情報授業校内関係者の構成
本校教官の半数にあたる以下の人員で、直接または間接に情報の授業を作り、実践している。
平成11年度 教育工学委員
国語、地歴、公民、数学、物理、化学、地学、英語、音楽、工芸、家庭
養護の各科教官14名
及び、委員以外の教育工学委員会メーリングリスト登録者(11名)